(平成21年5月 北野まきばサロン 寄稿文章)
○地方分権は地域自治の確立と同時進行
今日山積する多くの道政課題の解決を考えたときに、「地方分権」と「地域自治」の密接な関係が重要なキーワードになります。
道州制に例えられるように、北海道が自立をし住民主体の自治を行うことが求められています。しかしあくまでもこのことは行政上の仕組みの変更であって、一方で「地域自治」の確立が多様な価値観に応えることであり、今変化が求められています。
○新しい地域の繋がり方
これまで学術的な視点からは「町内会は近代化とともに失われる」とする近代化論と「町内会は日本の文化であり永続的なものである」とする文化型論が地域自治のあり方の議論を二分してきました。
しかし私は地域を「生活する集り」として捉えると、現代社会の縮図であり例えば老夫婦だけの家庭、独居老人、寝たきり老人、育児放棄、児童虐待等の課題が年々増加しており、これらの難問に対応できてこそ「地域自治」として今後求められる姿であり、今日的な「地方自治」のあり方のヒントになると考えます。
○地域への参加意識の高まり
平成19年版国民生活白書(内閣府発行)では、これまで地域の繋がりが弱まっていることが指摘をされてきましたが、ここ数年日本的雇用慣行の変化で職場での仕事以外の付き合いが減っているとともに、企業に帰属する意識が薄くなっているとしています。
こういった背景から職場一辺倒とは違う、家族や地域を通じた心の豊かさが重視されるようになり「地域活動に参加することにより達成感や安心感が得られる」などやすらぎや充実感を地域に求める、と報告がされていました。
○北野まきばサロン
「地域自治」には防災・防犯・交通安全・健康・長寿・交流・親睦・環境・景観などの役割が考えられます。しかし多くの住民にその地域活動に参加してもらわなければ、機能は発揮されず、参加するためのきっかけが必要となっています。国民生活白書でみられる地域への回帰は、同時に新たな意識を持った住民が求める多様な「地域自治」が求められています。
北野まきばサロンの試みはまさに住民の多様な意識を満たす一角であり、これまでの運営に携われた皆様のご苦労とその先進的取り組みに心から敬意を表します。
などと申し上げましたが、私は、ただただお酒が好きで美味しい食事と皆さんと交わす楽しい話が何より一番であります。
きっかけは「飲ミニケーション!」ですよね。
飲ミニケーションは地方分権の一歩と言い訳をしながら・・・。
参考文献:戦後町内会の機能と構造の変化 帝京大学都市社会学 菊池美代志教授2006年
北海道議会議員 梶谷大志