「日本の技術・技能の伝承」(平成24年1月コラム)
現在、建築大工さんの事業内(民間)認定職業訓練法人の顧問を拝命しています。
民間の職業訓練の分野は和菓子、和裁、板金、塗装、鉄筋、左官工、建築大工等、多岐にわたります。しかしそれぞれの業界の縮小、若者のものづくり現場離れが進み次世代への技術・技能の伝承が大きな岐路にたたされています。
私が手伝っている訓練校は、主に中学校を卒業したばかりの生徒を受け入れ、学科と実技の習得と、実生活を肌で直接感じさせる産学共同教育を実践しています。特に実技は事業所に受け入れてもらい、訓練生でありながら実際の現場で実技実習手当を支給しながら、即戦力を育成しています。ちなみに卒業後の就職率は100%です。事業所としては訓練を通じて早く一人前に育てること、そして業界の発展を目途に受け入れをします。
しかし同時に中学校を卒業したばかりの生徒は就業意識も乏しく、家庭環境も複雑、様々なトラブルの発生等、訓練校は家庭の親代わりとなり、また訓練生を受け入れた事業主は一人前に育てるために雇用主として、指導者として、生徒が一人前の社会人・技能者として自立するまで寝食を共にするほどの苦労をしているのですから、就職率が100%も当然です。
「技能の伝承を絶やしては、ものづくりの将来はありません」
昨今指摘されているのが、技能を必要とする多くの現場が一人のベテラン技能者に依存していると指摘をされています。本来一人ひとりが自立して作業をしなければいけないのに、実際には要所でベテラン技能者に聞いたり、作業を行ってもらっているという実態があります。それぞれの技能者が自立をし、人が入れ替わっても業界トータルとしての技能の伝承がなければ、資源が乏しい日本、そしてその業種の将来は無いのは明らかです。
世界に冠する日本の技術・技能の伝承に尽力して参ります。
北海道議会議員 かじや大志